3月6~9月東京、京都で開催されたASEANの「Capacity Building Workshop on Promotion of Sustainable Consumption in ASEAN 」に消費者庁からの依頼でJEIとして参加しました。
このworkshopはJAIF(日・ASEAN統合基金)の3年間の助成金で開催され、今回はその最初の年です。ASEANは、2025年のASEAN経済共同体の構築へむけたアクションプランを掲げており、その中の1つとして、消費者行政(特に消費者保護)の強化を行っています。その中で「Sustainable Consumption」について、意識醸成に努めていこうとのことです。
まずは、政府関係者間において理解促進を図るということでの来日です。参加者は各国政府の担当部局の上級管理職が参加しており、今後の各国行政組織における持続可能な消費に関する公共調達(ISO20400)への人材開発教育を主要な目的としています。日本側は消費者庁から岡村長官と米川消費者教育室長が、JEIからは中原、生駒副会長、山口副会長、富田理事、岩附理事、竹内氏(サラヤ)、金丸氏(イオン)、小椋氏(徳島県)が、そして平野氏(名古屋市)、杦本氏(環境市民)が講演と討論者として登壇しました。
1.ASEAN Strategic Action Plan for Consumer Protection (ASAPCP) 2025
ASEANでは、GPP(グリーン調達)からSPP(持続可能な調達)への公共調達へのシフトが鮮明になっており、今回の持続可能な消費に関する担当行政の強化が喫緊の課題になっているようです。本プロジェクトの幹事国はフィリピン政府、消費者行政のまとめ役はシンガポール政府です。
ASEAN共同体の「青写真2025」における2025ビジョンの3分野である「政治安全保障」、「経済」、「社会文化」の主要点の洗い出しでSDGsと関連づける一方、必ずしもSDGsの枠組みで協議されていないASEAN地域特有の主要素と戦略的取組みにもフォーカスしているようです(多民族問題、宗教問題、市場モラルなど)。
2.この4日間にわたる会議を通して見えてきた点
(1)持続可能な消費の導入するときの問題点
- 知識と問題の重要性の認識の欠如
- パブリック・リレーション(広報戦略)の欠如
- グリーン製品は値段が高く普通の消費者は買わないという現状・グリーン製品は一般市場で入手不可能、何処で買えるかわからない
- 政府は、産業や起業家を環境調和型にするための適切な法律がない
(2)持続可能な消費の促進のための政策課題として取りあげられたのは以下のものでした。
- 政策:ⅰ)弱い政策の枠組み、ⅱ)無関係なサプライチェーンにおける政策の適用、ⅲ)既存の方針が実施されていないということ
- アドボカシー:ⅰ)持続可能な消費に関する意識の低さと理解、ⅱ)不適切なアクセス可能な情報(誤情報、グリーンウォッシュなど)などの対策が必要とされているということ
- 消費者の行動:ⅰ)消費者行動の変化、ⅱ)価格重視の購入、を如何に変えることが出来るのかという問題認識のもと
- 市場への介入:ⅰ)社会的および環境的責任に関する企業のコミットメントの必要性と、ⅱ)限られた持続可能な製品とサービスの増加させるための政策的誘導が必要であろうこと
ASEANの持続可能な消費を推進するための対策は、実効性はともかく政策パッケージとしては進んでいると思料します。