日本エシカル推進協議会会長 中原秀樹

世界中をパンデミックの恐怖に陥れている新型コロナウィルスCOVID-19に関するイギリスEthical Consumerから届いたメッセージを紹介します。

3月21日『What we’re doing in response to COVID-19,and what you can do to help(COVID-19に対して私たちが行っていること、支援するためにできること)』というメールが届きました。Covid-19相互援助ネットワークへの参加を呼びかけています。この中で「公共交通機関は、ウイルスの拡散の場所です」という記述があり、移動はバスや電車、地下鉄を利用せず、徒歩か自転車で移動することで、医療従事者や介護従事者へ感染させないようにしよう、という呼びかけが印象的でした。便利な交通網と、温室効果ガスを減らすための公共交通の利用と発達が、皮肉なことに感染症拡大阻止の前に大きな障害となって立ちはだかっています。「解決策は一つ、感染を広げないために我慢して家にいよう」と呼びかけています。

Ethical Consumerより

これに対し『オフィス街の人出、5~6割減。政府の目標に届かず』『四国・お遍路さん、納経所閉鎖呼びかけ。1カ所既に閉山』しても『首相の警戒表明翌日に大分へ、50人で神社参拝』。『にぎわう商店街に苦情殺到「野放しか」。困惑の戸越銀座』『首都圏外へのパチンコ遠征、続出』と我慢できない大人たちのなんと多いことか。お父さん、お母さん『子どもは大人の背中を見て育つ』ということを忘れないでください。

ストリーミングサービス

Stay Home(家から出ないで)といっても、何をして過ごすのかということで読書はもちろんのこと今注目を浴びているのが『ネットフリックス、「巣ごもり」が追い風 有料会員1577万人増/純利益は倍増』という新型コロナウイルスの影響で、世界的に「巣ごもり」が増える中、自宅で視聴できるストリーミングサービスに追い風が吹いています。自宅待機している人たちのためにEthical Consumerが注目の製品ガイドとしてストリーミングサービスを取り上げています。このガイドでは、15のストリーミングサービスプロバイダーの倫理的および環境的な側面を調査、スコア付け、ランク付けしています。

Ethical Consumerより

「オンラインで見る前に何を探すべきか」ということで、「ストリーミングサービスの企業のほとんどは電子デバイスも製造しているので、紛争鉱物に関するポリシーで高い評価を得ている企業を探してください」と紛争鉱物政策についてチェックするよう呼び掛けています。

製品評価の対象は以下の通りです。

  • サブスクリプション(TV・映画):BBC, iPlayer (through TV licence), Amazon Prime, Netflix, Now TV.
  • サブスクリプション(フィルムのみ): BFI Player, Flix Premiere, Mubi.
  • 視聴毎/レンタル(テレビ・映画):Apple iTunes, BFI Player, Google Play, Play Station Video, Rakuten, YouTube Premium.
  • 無料(テレビと映画): All 4, BFI Player, ITV Hub.

またストリーミングサービスが「気候変動にどのような影響を与えているのか」ということで、Greenpeaceのクリッククリーン評価を取り上げています。Greenpeaceは2017 Clicking Cleanレポートで、テクノロジー企業の環境パフォーマンスを毎年評価し、再生可能エネルギーを使用するよう呼び掛けています。その結果AppleとGoogleがA評価、AmazonがC評価、NetflixがD評価でした。

紛争鉱物: 5社はテクノロジー製品も製造しているため、紛争鉱物に対する方針が評価されています。格付けされた企業のうち、Apple、Google、Sonyが最高の評価を受けました。楽天とAmazonは最悪の評価を受け、生息地と資源と人権の下でマークダウンされました。

租税回避:多くの企業が脱税戦略の可能性があるということで悪い評価を受けました。Skyは中程度の評価を受けましたが、Skyの一部を所有する21st Century Fox は最悪の評価を受けました。Channel 4 、BFI、Flix Premiere、Mubiのみが最高の評価を受けました。多くの企業はまた、税金の支払いを回避するために批判されています。これには、Apple、Netflix、Google、そしてAmazonが含まれます。

汚染と毒性:多くの企業が衣類や電子機器での作業に関して汚染と毒性の評価を受けました。これらはDisney、Google、Apple、Amazon、楽天、Sonyでした。Apple とSony は最高の評価を受け、残りの4つは最低の評価になりました。

『NY医師「命、選ばざるをえない」足りぬ人手・病床・呼吸器。日本に警鐘新型コロナ』という悲痛な声を受け止め、『Stay Home家から出ないで』を実践することはエシカルな行動です。わたしたちの命を守るために医療・介護の現場で働いている人たちの足を引っ張るようなことは絶対に止めましょう。

スーパーマーケットの裏側

4月17日『Help provide food and essential supplies to migrant workers in UK supply chains(イギリスのサプライチェーンの移⺠労働者への食糧および必須供給の提供を支援しよう)』という第3報が届きました。

私たちが必要としている食料供給の1つに、スペイン南部のアルメリアとウエルバで収穫されたものがスーパーマーケットに送られてきます。果物や、野菜をイギリスのスーパーマーケットに提供している移民労働者は、社会的距離法により、彼らが住んでいるスペイン南部の窮屈な入植地に制限されています。

昨年来、Ethical Consumerはスペイン南部の恐ろしい状況で生活し、働いている果物や野菜のピッカーの状況について報告してきました。何千人もの移民労働者とその家族が入植地に居住し、農園の温室から廃棄される木製パレット、段ボール、プラスチックで作られた住宅に住んでいます。

スペインがCOVID-19感染のパンデミックのために3月14日に封鎖を宣言して以来、彼らはパンデミックの最中に働くことができず、収入がなく、緊急に物資を必要としています。彼らはこれらの入植地を離れることはできません。1月に発表された国連の報告書によると、入植地に最も近い水源は数キロ離れているとのことです。そのスペイン南部から「通常の状況下では、入植地に住む労働者たちの状況は衝撃的です。15日以上の警戒状態の後、状況は絶望的です」との連絡が地元の農業組合SOC-SATアルメリアからあり、急遽Ethical Consumerは、アルメリアとウエルバのSOC-SAT農業組合と「シャンティの町の終焉」のために運動している草の根組織であるアフリカの労働者集団と協力して、クラウド・ファンディングによる救援寄付を現在呼びかけています。寄付の使い道の緊急の優先事項は次の通りです。食物、薬、おむつやその他のベビー用品、個人用衛生用品、マスク、手袋、消毒ジェル、その他のPPE、というものです。

日本では全国に非常事態宣言が出ても、お金さえあれば医療品や食糧品の買い出しに行くことはできます。エシカル消費は、フェアトレードに代表されるサプライチェーンに潜む問題を考慮して消費の在り方を変えようというものです。『感染200万人、新興国危機的。医療・補償、行き届かず』『感染対策、強権の口実。カンボジア・フィリピン、人権団体が懸念』という記事や、『農家の人手確保に補助。新型コロナ、技能実習生』『実習生、マスク製造可能に』という記事の見出しを見て、わたしたち日本人の生活を支えてくれている国内外の人たちの存在を忘れてはならないと考えます。(了)

 

参考文献

https://mailchi.mp/ethicalconsumer.org/mothers-day-gift-guide-free-tickets-and-more-1522123?e=964e5d79fd
https://www.ethicalconsumer.org/technology/shopping-guide/streaming-services
https://mailchi.mp/ethicalconsumer.org/covid-appeal-can-you-help-migrant-workers-1522180?e=964e5d79fd

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