1回使っただけで捨ててしまう「使い捨てプラスチック (single-use platstic)」の廃棄問題を様々な角度から調査してランキングしたレポートがこのほど発表されました(調査機関はMinderoo Foundation(豪)、London School of Economics、Stockholm Environment Institute、Wood Mackenzie)。
それによると、2019年の使い捨てプラスチックの廃棄量は世界全体で1億3000万トンでした。国別では中国とアメリカが突出して多く(その2カ国で全体の約1/3)、3位がインド、4位が日本、5位がイギリスとなっています。ただ、国民一人当たりの廃棄量ではシンガポールが年75㎏で1位、続いてオーストラリア、オマーン、オランダ、ベルギーの順に多く、日本は18位(年37㎏)でした。特筆されるのはドイツで、総廃棄量では13位に入るものの一人当たりでは35位(年22㎏)で、やはり環境意識の高さが窺われます。人口が多い中国は一人当たり年18㎏で45位でした。(下の表参照)
順位 | 年間総廃棄量 | 一人当たり年間廃棄量 | ||
万トン/年 | kg/人/年 | |||
1 | 中国 | 2,536 | シンガポール | 76 |
2 | アメリカ | 1,719 | オーストラリア | 59 |
3 | インド | 558 | オマーン | 56 |
4 | 日本 | 471 | オランダ | 55 |
5 | イギリス | 289 | ベルギー | 55 |
6 | ブラジル | 281 | イスラエル | 55 |
7 | フランス | 232 | 香港 | 55 |
8 | ロシア | 230 | スイス | 53 |
9 | インドネシア | 226 | アメリカ | 53 |
10 | 韓国 | 225 | UAE | 52 |
11 | メキシコ | 218 | チリ | 51 |
12 | ベトナム | 190 | 韓国 | 44 |
13 | ドイツ | 182 | イギリス | 44 |
14 | スペイン | 159 | クウェート | 40 |
15 | オーストラリア | 145 | ニュージーランド | 39 |
16 | イタリア | 139 | アイルランド | 39 |
17 | カナダ | 126 | フィンランド | 38 |
18 | タイ | 126 | 日本 | 37 |
19 | トルコ | 123 | フランス | 36 |
20 | サウジアラビア | 116 | スロベニア | 35 |
また、廃棄された使い捨てプラスチックのうち、35%は焼却処分され、31%が埋め立てられたものの、19%が陸地や河川に投棄されたと推定されています。
調査報告書は、使い捨てプラスチックを生産するメーカーのランキング、生産メーカーに融資している銀行のランキング、投資している投資機関のランキングも掲載しています。
生産メーカーランキングでは、1位がエクソンモービル、2位がダウ、3位はシノペックで、日本企業としては住友化学が25位、三菱ケミカルが31位、三井化学が37位に入っています。
融資銀行ランキングでは、1位がバークレイズ、2位JPモルガン・チェース、3位シティグループで、日本の銀行では三菱UFJが6位、みずほが8位、SMBCが9位に入っています。
投資機関ランキングでは、サウジアラビア政府、中国政府、、アブダビ首長国政府が1~3位を占めるなど大半を政府機関が占め、日本からは日本政府が31位、住友三井信託が73位、三菱UFJが99位に入っています。
詳しくは、Plastic Waste Makers Index | The Minderoo Foundation をご覧ください。
この調査が示すように、今日では廃棄量そのものだけではなく、廃棄物を生産したのが誰か、廃棄物の生産メーカーに投資、融資したのが誰かといった、生産者の責任およびESGに代表される投融資の責任が問われるようになっています。